A2_所得税

2012年度税制改正大綱 国外財産調書制度

2012年1月10日 09:15

海外への資産逃避による申告漏れ対策

 

 2012年度税制改正大綱は、国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあること等を踏まえ、一定額を超える国外財産を保有する個人に対し、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度を創設する、としています。

対象者は中流上層以上の資産家か

 

対象者は、年末時点で国外財産の総額が5千万円を超える居住者であって、提出する「国外財産調書」には、財産の種類、数量及び価額などを記載し、翌年315 日までに、税務署長に提出する、と言うことのようです。

 

 所得税、相続税の申告漏れを捕捉することが目的とされてはいますが、提出期限から判断して、所得税法に規定が置かれるものと推測されます。

 

所得の有無とは無関係な申告

 

所得税法に規定が置かれるとしても、この「調書」は所得の有無とは無関係に提出義務が生じます。

 

所得税法では、合計所得金額が2千万円超の者への「財産債務明細書」の提出を義務付けていますが、新設予定の「国外財産調書」の提出義務者には所得要件がありません。所得税の確定申告書の提出義務がなくても、調書提出だけが必要になることもあり得ます。

 

財産申告という新しい可罰制度

 

従来からあった「財産債務明細書」の提出という財産申告には、不提出や虚偽記載に対するペナルティーはありませんでしたが、「国外財産調書」の提出という財産申告には、1年以下の懲役又は50 万円以下の罰金が法定されます。

 

また、国外財産に係る所得があるのに国外財産調書不提出の場合、その所得部分についての無申告加算税・過少申告加算税には、5%が追加重課されます。

 

日本版富裕税への布石か

 

「小富豪」向けに、海外への資産移転を煽り、その知識やテクニックを案内するオフショア勧誘情報が目につく昨今、いわゆる「資産フライト」が広く浸透し出したことへの対抗策なのでしょうが、さらにその先に国内財産への財産申告にも同じような厳罰をもって臨む制度化を目論んで、それへの布石だとすると、いよいよ日本版富裕税への準備かと思ってしまいます。