A7_譲渡所得

株式等に係る譲渡所得の課税は、申告分離課税で国税15%(別途復興税有)、住民税5%です。

 

しかし、2811日以後の株式等に係る譲渡所得については、上場株式等に係る譲渡所得とそれ以外(一般)の株式等に係る譲渡所得とは区分され、それぞれ別のものとして税額計算がなされます。

 

両者の損益通算はできない

 この区分計算の理由は、平成28年分から上場株式等に係る譲渡損失又は譲渡益と一般株式等に係る譲渡益又は譲渡損とが、それぞれ両者間で損益通算ができなくなることによるものです。

 それでは、平成27年分以前の各年分において生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で平成28年分に繰り越されたものについてはどうか、ですが、一般株式等に係る譲渡所得の金額から繰越控除することはできません。

もちろん、平成28年分における上場株式等に係る譲渡所得の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額から繰越控除することはできます。

 

特定公社債等の利子と譲渡損益

 また、特定公社債等の利子や譲渡による所得も平成28年分から申告分離課税(所得税15%、住民税5%)の対象とされました。

 

 そして、これらの所得間、上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)及び譲渡所得との損益通算並びに特定公社債等の譲渡損失の金額についても確定申告書を連続して提出することにより3年間の繰越控除ができることになりました。

 

 なお、特定公社債等の償還又は一部解約等により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額については、これを特定公社債等の譲渡所得の収入金額とみなす、とされました。

 

特定公社債等とは

 ちなみに、特定公社債等とは、特定公社債と公募公社債投資信託からなり、特定公社債は、国債、地方債、外国国債、公募公社債、上場公社債、平成271231日以前に発行された公社債(同族会社が発行した社債を除く)などの一定の公社債をいいます。

 

 なお、損益通算及び繰越控除の対象となるものは、金融商品取引業者等を通じて売却する場合など、一定の売却になります。

日本版ISAの導入

税制改正では、現行の上場株式等の譲渡損益及び配当に対する10%課税の軽減措置が本年末をもって廃止となり、平成261月以降は、倍の20%課税になります。

この改正のままでは、大衆課税になってしまうということで、「少額投資非課税制度」というものを創設し、投資規模500万円程度の人については、課税対象外としました。日本版ISAと言われるものです。

5%の概算原価の射程範囲

 昭和27年以前から所有している土地や建物や借地権などを売却した時の譲渡原価については、実際の過去の取引の事実がどうだったかよりも、売却収入金額の5%をもって、その譲渡原価とする、と法律で規定しています。

 もちろん、5%の概算原価よりも、実際の譲渡原価が高い場合は、実際の数値を使うこととされています。

 なお、昭和28年以後取得のものについても、その譲渡原価を売却収入の5%とすることについては、条文に特に禁止規定がないということで、通達で拡大解釈し、不動産のみならず、株式その他有価証券一般に適用できるものとしています。

官僚達の仕事

 霞が関の省庁は不夜城の如く夜遅くまで火が灯っています。官僚達の仕事の相当部分が「質問趣意書」に対する「答弁書」の作成に費やされています。

国会報道として、テレビで放映され、新聞その他のマスコミで報道されているような、国会での議員と政府との質疑のやりとりは、議員の質疑活動のほんの一部です。そこに登場しない他の国会議員の姿はなかなか国民の目に届きませんが、衆議院・参議院のホームページを覗いてみると、紙の上での国会討論が盛んに行われていることが確認できます。それが、「質問趣意書」で、政府への提出とそれへの答弁というものです。国会での質疑が尽くしきれなかったものの再質問もあります。毎年、衆参合わせて千通以上の「質問趣意書」と「答弁書」がやり取りされています。

 消費税法では、国内において事業者が行う物の販売と役務の提供及び外国貨物の輸入に消費税を課することになっています。

相続税が必要経費とは

 相続や遺贈(相続等)で財産を取得した人で相続税額がある人が、相続開始日の翌日から3年と10カ月を経過する日までに、その取得した財産を譲渡した場合は、その人の確定相続税額のうちその譲渡した資産に対応する相続税額を、当該譲渡した資産の譲渡所得の金額の計算上、その所得を限度して、必要経費に算入することができます。このことを、所得税法上、相続税の取得費加算といいます。

 なお、譲渡した相続財産が土地及び土地の上に存する権利(土地等)であれば、相続等により取得したすべての土地等(物納及び物納申請中の土地等は除く)に対応する部分の相続税額が必要経費(取得費)となります。

 仕事の関係で長く海外に赴任している場合、現地で居住用の家屋及や土地等(以下「居住用財産」といいます。)を購入し、そして、日本に帰国の際には、当該居住用財産を処分してくるのが一般的なようです。

日本からみれば、当該居住用財産は国外財産で譲渡人はこの段階では非居住者ですから、日本での課税関係は生じません。

しかし、現地で売買契約だけを済ませ、日本に帰国してから引渡す、といったケースでは、日本での課税はどうなるか、です。

 今年6月に成立した平成23年度税制改正において、現行の上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る軽減税率10%(所得税7%、住民税3%)の適用期限が平成251231日まで延長されました。

 

 そこで、個人の方が上場株式等の配当等を受けた場合や売却した場合の金融・証券税制を確認しておきたいと思います。                      

通達の借地権理論

 

土地所有者である地主が、更地価格1億円の土地について、借地権を立退料6000万円を支払って買い戻して、更に、その借地権を他人に6000万円で借地再設定すると、  借地権の取得費も新規設定収入も共に6000万円なので

6000?60000 となるように思えます。

 しかし、ここの計算は、

6000?6000×0.6?6000×0.052100

(土地は先祖伝来のもので取得費不明、旧借地権は自然発生なのでかつて借地権の譲渡計算はしていない、という前提)となるような算式が、通達に書いてあります。

最高裁の遡及立法擁護判決

 

平成16年の土地建物の譲渡所得と他の所得との損益通算を廃止する税制改正は年初への遡及適用だったことによる、遡及課税が許されるかを争った裁判がいくつも起きていました。

 

「租税法規不遡及の原則に違反し違憲無効」とする判決、合憲とする判決がそれぞれあり、最高裁にまで争訟はつづき、平成23922日最後の判決がありました。

租税法律主義の憲法規定は遡及立法による課税を禁止していない、との判決です

特定資産の買換え特例とは、保有不動産等(土地等及び建物等)を売却し、一定の要件を満たす不動産等(土地等、建物、構築物、機械及び装置)に買換えた場合には、最大、譲渡益の8割まで課税の繰り延べ(圧縮記帳)ができる制度です。

 

昭和の高度成長期から平成の現在に至るまで、有効な資産活用及び設備投資を可能にする利用価値の高い制度として長らく不動産税制の中心に君臨してきました。

 

 しかし、近年、国内産業の空洞化等により制度の有用性に陰りが見えたのでしょうか、平成23年度の税制改正において、この買換え特例制度については、大幅な見直し改正がなされました(震災特例法は除く)。 

 

 そこで、この特例制度(法人税を中心に)の主な項目の改正内容を確認してみます。

株式の配当・譲渡課税の原則

 

株式の配当所得に対する課税は,非上場株式については国税20%の源泉徴収の上確定申告での総合課税、上場株式については10%(国税7%、地方税3%)の源泉徴収の上、総合課税、申告分離課税、申告不要の選択となるのが原則です。

 

株式の譲渡所得も似た制度になっていますが、総合課税は無く、非上場は20%(国税15%、地方税5%)の申告分離のみで源泉徴収はありません。

 

上場株式は配当所得との損益通算が可能で、申告分離課税のほか、10%(国税7%、地方税3%)の源泉徴収の上、申告不要とする選択もでき、譲渡損失が残るときは、損失の繰越しをすることができます。

修正申告は、既に提出した確定申告の税額が過少(純損失等が過大)であったとき、原則、納税者の自発的な意思に基づいて、税額の増額(純損失等の過少)修正をする申告手続きです。

 

 しかし、例外的に各個別税法、租税特別措置法の規定により修正申告が義務付けられているものがあります。これが義務的修正申告です。

本当の上場株式の譲渡損

 

上場株式等を証券会社を通じて売却したことにより生じた損失の金額がある場合は、まず他の株式の譲渡益と通算しますが、さらに、その年分の上場株式等に係る配当所得の金額と損益通算することもできます。

 

また、なお控除しきれない損失の金額については、翌年以降の株式等に係る譲渡所得の金額及び上場株式等に係る配当所得の金額と損益通算するために3年間にわたる繰越をすることができます。

源泉徴収あり、なしの「特定口座」

 

 特定口座については「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」の2種類あり、いずれも証券会社が上場株式等の取得日や取得価額の管理、譲渡損益の計算をしてくれます。特定口座は源泉徴収選択の有無に関係なく、1証券会社につき1口座しか開設できませんが、複数の証券会社ごとに開設できます。

日本航空株主の権利消滅

 

日本航空の平成22年1月19日更生手続開始申立てに伴い、その株式は上場廃止までの期間「整理ポスト」に入り、219日で売買最終日となり、220日に上場廃止となりました。その後100%減資が行われ、発行済み株式の全てを会社が無償で取得し、消却しましたので、それまでの全株主は株主でなくなりました。

猫の目のように変わる昨今の証券税制ですが、整理しますと次のようになります。

 

1)平成20年度税制改正により、平成21年以降の所得について確定申告で申告分離課税を選択することにより、上場株式等の譲渡損失と、上場株式等の配当金及び株式投資信託の分配金との損益通算が可能。

離婚時財産分与では取得者非課税

 

離婚の際の財産分与では、分与を受けて財産を取得する側は非課税です。すでに財産分与請求権があり、その請求債権の弁済として財産を受け入れているだけだから、という理由です。そして、妻のその取得財産の取得費はそのときの時価となります。

離婚の財産分与では分与側に課税

 

離婚の際の財産分与では、分与を受けた側には贈与税も所得税もかかりません。

 

それに対して、分与した側が居住不動産や有価証券などで分与義務を履行すると譲渡所得税の対象となります。

二重課税禁止最高裁判決の計算構造

 

先月76日の年金二重課税禁止最高裁判決の新判例は、二重課税の回避として相続税課税済額を所得計算から排除することを要求しています。また、所得税法は支払済保険料を所得計算上控除するものとしています。