A4_相続税・贈与税

悩ましい?お線香の上げ方の作法

 最近、喪家に弔問に伺い、お悔やみを申し上げる機会が増えました。悩ましいのはお線香の上げ方。御葬儀に参列するときは、前列の方の作法を真似れば良いのですが、後日、お伺いする際にはそういう訳にはいきません。仏式の場合、お線香の本数だけでも宗派によって次のように異なります。


(一般的なお線香の本数)

天台宗・真言宗

3本を立てる

曹洞宗・臨済宗

浄土宗・日蓮宗

1本又は2本を立てる等

浄土真宗

1本を寝かせる等

 喪家にお尋ねしても「お気持ちで結構ですので...」と気を遣われることも多いので、その時はご自身の宗派の作法でお線香を上げても失礼には当たらないようです。


 御香典の表書きも、四十九日前ならば「御霊前」、後ならば「御仏前」なのですが、浄土真宗では「御霊前」が使えない場所もあるようです(御通夜等でも「御仏前」)。宗派が不明の場合には、どの宗派でも使える「御香料」とするのが無難かもしれません。


税務調査で「香典帳」が見られる?

 一方、お線香を上げて頂く喪家の方では、葬儀に参列された方は「芳名帳」、御香典を頂いた方は「香典帳」に記しますが、相続税の税務調査では、これらを見せてほしいと言われることがあります。被相続人と関係がある金融機関や取引先が記載されているので調査の重要な資料となるからです。


同様の趣旨からご家族の電話帳の提出を求めたり、壁に掛けた金融機関のカレンダーを確認されたりすることがあります。


香典メモを破って棄てたのがバレた?!

 このような資料は求められれば提出せざるを得ないのですが、その対応を相続人が誤ってしまった事例が国税不服審判所の裁決(平成283月)にあります。


この相続人の提出した申告書には、ある金融機関の公社債の申告漏れがあったのですが、税務調査の際に香典メモの提出が求められました。相続人の方はその金融機関が弔問の際に支払った香典5,000円の部分をメモから破り、調査官に提出したのですが、後で見つかってしまったようです。この行為が「相続財産(公社債)を隠蔽する態度」と見られ、重加算税の賦課要件に当たるかどうかが争われました。法律以前に何だかしまらない話ですね。

相続税・贈与税の納税義務が改正!

 相続税・贈与税の納税義務者は、国内・国外財産を問わず課税される「無制限納税義務者」と国内財産のみに課税される「制限納税義務者」の区分に大別されます。


平成294月以後の相続・贈与から、納税義務者の範囲が見直され、富裕層の海外流出(アウトバウンド)に対しては課税の強化、高度人材外国人の受入(インバウンド)に対しては課税の緩和が図られました。


富裕層の海外流出に対応した改正(増税)

・「5年ルール」を「10年ルール」に改正

 改正前には、日本国籍を有する者が課税時期に日本に住所を有していない場合でも、被相続人(贈与者)又は相続人(受贈者)のいずれかが課税時期前5年以内に日本に住所を有していれば「無制限納税義務者」とされ、それ以外の場合には「制限納税義務者」とされていました。今回の改正で「5年以内」が「10年以内」と延長されました。


・外国籍である非居住者の課税範囲拡大

 また、日本国籍を有しない者が課税時期に日本に住所を有していない場合には、被相続人(贈与者)が課税時期に日本国内に住所を有している場合に限り、「無制限納税義務者」とされていましたが、被相続人(贈与者)が課税時期前10年以内に日本国内に住所を有していた場合も「無制限納税義務者」に該当することとされました。


 これらの改正により、富裕層が海外移住しても、日本の相続税・贈与税の「課税の網」にかかる範囲が広がることになります。


高度人材外国人の受入整備措置(減税)

 一方、被相続人及び相続人双方が一時的に日本に居住する者である場合には、「制限納税義務者」とされ、国内財産のみに相続税・贈与税が課されることとなりました。


相続人等

被相続人等

一時居住者

左記以外の者

一時居住被相続人

非居住被相続人

国内財産のみ

課税

全世界財産課税

上記の者以外

全世界財産課税

全世界財産課税

 改正前には、日本人のみならず、日本で就労する外国人が国外財産を相続・贈与する場合にも日本の相続税・贈与税が課税されていました。この場合、本国よりも重い日本の相続税・贈与税が課される可能性もあり、優秀な外国人材が来日を取り止めることも懸念されていました。そこで国外財産については課税しないこととして、来日阻害要因を取り除く措置が講ぜられました。

29年路線価は前年比0.4%増

 平成29年路線価が公表されました。全国の路線価の平均は前年比0.4%増。一昨年までは7年連続の下落傾向でしたが、2年連続の上昇となりました。これは3月公表の公示地価と同じです。以前は路線価と公示地価の前年対比率の取り方が異なっていましたが、現在は両者とも「地点ごとの変動率」を単純平均しており大差はありません。


地価公示は「土地の取引価格の指標を与えること」を目的としており、全国で約26,000地点の公示地価を3月に公表しています。一方、路線価は相続税・贈与税の課税価格として用いられるもので、計算の基礎となる調査地点(標準宅地)が約333,000地点です。こちらは件数も多いため、公表は7月となっています。なお、路線価の価格は公示地価の8割程度の評価となります。


鳩居堂前の路線価は過去最高額を更新

 29年の路線価が前年より上昇した都道府県数は13(宮城県の3.7%増が最高)。下落は32でした(秋田の2.7%減で4年連続最下位)。ただ、下落した県のうち26は下げ幅が縮小したため、全体では上昇局面とはいえます。また、路線価の最高額は、例年どおり銀座の鳩居堂前でしたが、これに加えて「銀座プレイス前」などの4か所も1㎡当たり4,032万円で、バブル期の3,650万円を抜き過去最高とのことです。ちなみに、公示地価の29年の最高額は、同じ銀座の山野楽器本社の5,050万円です(鳩居堂前は公示地価の調査対象ではありません)。


(過去3年間の鳩居堂前の路線価・前年比)

平成27年分

26,960,000円(+14.2%)

平成28年分

32,000,000円(+18.7%)

平成29年分

40,320,000円(+26.0%)


上昇傾向はどこまで続くのか...

 公示地価は土地の用途別で変動率が公表されており、29年は商業地が2年連続の「上昇」、住宅地は「下落から横ばい」へ、工業地は「横ばいから上昇」に転じています。


これらをあわせて考えると、オリンピック開催で都市部の地価上昇は急激な一方で、住宅需要も団塊ジュニア世代が住宅購入年齢に当たる現在は, 低金利や税制にも支えられ底堅い感じもしますが、先行指標である中古マンションの指標が鈍化していることや、生産緑地指定から30年経過する平成34年には都市圏に土地が過剰供給される懸念も囁かれていますので、オリンピック後の状況はかなり変わるものと予想されます。

非上場株式の納税猶予の適用数が大幅増!

 平成21年に創設された非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予制度(いわゆる「事業承継税制」)。当初は担保提供要件や猶予取消しのリスクなどが強調され適用件数・金額とも少なかったのですが、こまめな制度改正が加えられた結果、ここにきて適用事例がかなり増えてきています。


直近の国税庁の公表数値(平成27年分)では、贈与税は270件(265億円)、相続税は224件(148億円)が納税猶予の適用を受けました。経産省の資料では平成30年の納税猶予適用の前提となる認定が贈与税533件、相続税274件あるとのことですので、今後も適用件数は増えていきそうです。


〔非上場株式の納税猶予の適用件数・金額〕

 

贈与税

相続税

件数

金額

件数

金額

H25

78

47.5億円

110

67.0億円

H26

43

49.4億円

127

64.1億円

H27

270

265.7億円

224

148.1億円

この平成2941日からは、経営承継円滑化法の対応窓口も地方経済産業局から都道府県に変更になりました。納税者にとって、より身近な制度となることが期待されますね。


贈与税の納税猶予と精算課税の併用可に!

 平成29年税制改正では、贈与税の納税猶予について、相続時精算課税制度との併用が認められることとなりました。


 例えば、先代経営者から後継者に贈与した自社株2億円について贈与税の納税猶予を適用した場合には、改正前では、その後納税猶予の取消しがあったときには、累進税率の暦年課税で贈与税が課税されますので、贈与税1.3億円の納付が必要でした。


〔改正前〕取消時に暦年課税

贈与時

猶予取消時

相続開始時

納税猶予

暦年課税

1.3億円納税

課税なし

 今回の改正では猶予取消時に相続時精算課税を適用できることになりました。


〔改正後〕納税猶予と精算課税併用可

贈与時

猶予取消時

相続開始時

納税猶予

精算課税

3,500万納税

相続税申告

1,360万円

この改正により納税猶予取消時の税負担リスクが軽減されます。将来の経営の見通しが見えないため、納税猶予を躊躇していた経営者にとっては朗報といえるでしょう。

国税庁、平成29年類似業種株価表を公表!

 平成29年1月~4月に発生した相続税や贈与税の「取引相場のない株式」(非上場株式)の評価に用いる類似業種比準価額の業種目別株価が、平成29年6月下旬に国税庁ホームページに公表されました。


平成29年税制改正により、業種別株価(A)に「課税時期の属する月以前2年間の平均株価」も適用できるようになったため、この数値がどのような形で示されるのか気になるところでしたが、公表された株価表では、下記のように上段を「各月の株価」、下段を「課税時期の属する月以前の2年間の平均株価」と二段表示する形となりました(自分で平均を出すことはないようです)。


〔業種目別株価表〕(単位:円)

株価A/

業種目

29

1月分

2月分

3月分

4月分

建設業

242

217

244

218

256

220

256

220


新通達による自社株評価の影響は?

 この他にも、今回の「取引相場のない株式」(非上場株式)の改正は、①会社規模の判定区分の見直し、②類似業種比準価額方式の算式の改正があり、中小企業経営者にとっては、自社株の評価がどう変わるか気になるところです。


類似業種比準株価については、旧通達では利益の変動が株価に大きな影響を与えていましたが、新通達ではその影響は少し小さくなるようです。例えば、比準要素が「配当1・利益1・資産1」の会社の利益が「1→0.5」あるいは「1→2」になった場合の比準割合は、旧通達では0.70倍~1.60倍のレンジであったのに対し、新通達では0.83倍~1.33倍のレンジとなります。


〔利益の増減の類似株価への影響〕

配当

利益

資産

旧通達

の比準割合

新通達

の比準割合

新旧

増減

1.60

1.33

1.00

1.00

0.5

0.70

0.83


会社規模区分改正のインパクトも大

 また、新通達の類似業種の算式では、純資産が大きな会社の評価が相対的に上がる傾向にあるようです。一方で会社規模の判定区分見直しで大・中会社の適用範囲が拡大されることから、実際の改正のインパクトは計算してみないとわからないようです。

相続債務にはご注意ください

被相続人が亡くなって相続が開始されると、相続人が集まって遺産分割協議を行います。遺産分割協議で相続財産の分割を受けなくとも、相続債務は引き受けなければなりません。


どういうことかと言うと、

両親と子供一人の家族で、アパートを所有していた父が亡くなり、母がその後の生活のためにアパートを相続したようなケースで、アパート建設のための借金が残っていた場合、銀行はその借金の返済をアパートを相続しなかった子供にも請求できます。


債権者にとって、相続人が勝手に決めた遺産分割協議に拘束されることはなく、相続人全員に法定相続分に応じた分割債務を請求できるのです。


そうならない為には債権者である銀行等に承認を得ておく必要があります。


遺産分割協議書は、相続人の間では有効ですが、債権者には意味がありません。

 

心配な場合は相続放棄を

相続財産を受け取らず、相続債務に不安があるときは家庭裁判所に申立てをして相続放棄を受けることができます。


相続放棄を受ければ被相続人の債務に関する追及はありません。

相続放棄は自己のために相続があったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てしなければなりません。


「知ってから」というのは、相続人と言えども疎遠な場合もあり、知らないうちに相続債務の請求を受けない為の措置です。

 

相続とは権利と義務を引き受けます

相続では財産等権利だけでなく、債務等の義務も相続するのです。


遺産分割協議をおこなう時は財産の分け方ばかりに目が行きがちですが、相続放棄をしないのであれば、債務の引き受け方もきちんと取り決め、債権者の承認を得ておく必要があります。

不動産の附合

民法の第242条に不動産の附合と言う規定があります。「不動産の所有者は其不動産の従として之に附合したる物の所有権を取得す。」と言うものです。

何やらわかりにくいので、事例で示すと、建物を増築した場合、だれが増築しようとその増築部分は、当初の建物の所有者のものですよ、と言うことです。

親子では良くある話

他人名義の建物に金を払って増築する人がいるのかと思われるでしょうが、それが時々いるのです。父親所有の家屋の増改築資金を子供が負担することはよくある話です。例としては、高齢などの理由で父親が増改築資金のローンを組めない場合(子供がローンを組むのも子供が資金を出したことになります。)や、一人前になった子供が二世帯向けにするためなどに自分で資金を用意して、増改築をするような場合です。


贈与税がかかってきます

この場合父親所有の家屋に子供が費用を負担して増築したとしても、増築部分の所有権登記を子供の名前ですることはできません。つまり増築部分も以前の所有者である父親の所有とされてしまうのです。これが「不動産の附合」です。


よって家屋の所有者は父親で増築資金を出したのが子供であれば、父親は増築部分を子供から贈与を受けたことになります。増築家屋という利益を手にした父親から贈与税を頂きます、というのが税務の考え方です。(この場合「贈与の意思の有無」は一切関係ありません。)


対策は次のどちらかで

 贈与税がかからない為の方法は次の二つのどちらかです。(勿論ケースバイケースで、どちらの方法が良いとは言えません。)

方法①:増築前の家屋を父から子供が贈与を受けて、その後に増築する方法

方法②:増築前の家屋の評価額と増築費用の合計額に占めるそれぞれの割合に基づいて、父と子供の共有持分登記をする方法。


贈与税を払わないと言うだけなら②ですが、この際子供の名義にした方が良いと言うような場合などは①とすることも良いと思います。

夫婦間での金銭のやり取りは原則贈与

夫婦間での生活費のやり取りは、日常生活においてまったく税金など意識せずに当たり前に行っております。


特に、専業主婦の妻が「大蔵省」として家庭の財布を握っている場合もよく見受けられます。


税務上これらの行為は原則贈与税の対象となります。ただし、贈与税の非課税規定において、「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるものは非課税とする」と定められているため普段は問題になりません。


多額の資金の移動は特例で対応

しかし、多額の金銭や資産が動くと話は別です。多額の金銭を子供名義の預金に振り込むとか、住宅の名義を妻に変えるなどの場合は当然にも贈与税の対象となります。


とはいえ、世の中の変化に対応して税制も、「教育資金の一括贈与」や「配偶者への住宅の贈与」が可能になるような特例措置を講じてきました。


老人ホームへの入居金は今後の課題?

老人ホームの入居一時金も多額の資金が動きますから、だれが負担するかによって贈与税の対象となります。


国税不服審判所で争われ、非課税とされた事例と、課税とされた事例が、それぞれあります。


判断の基準は「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるか否か」です。あとは事実関係により判断することとなっております。


非課税とされた事例

配偶者を介護付き有料老人ホームへ入居させるに当たり入居一時金(945万円)を支払った事例


課税とされた事例

配偶者と共に有料老人ホームに入居したが、主契約者を配偶者とし入居一時金(13,370万円)の9割を自分で出した事例


詳細は紙面の都合で省略しますが、金額の多寡が影響している面は否めません。


今後も増える事例と思われますので、安心して老後が過ごせるような特例措置や明確な基準の公開が急がれます。

未払給与・未払年金

遺族の方に支給される遺族年金は、所得税も相続税も課税されません。ただし、相続後に支給を受けるものであっても、その死亡した人に支給されるべき年金給付のうち未だ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、未払いの給与などと同じように、相続財産になるのではないか、と考えてしまいそうです。


未支給年金の相続性

 ところが、未支給年金については、「国民年金」についての最高裁の確定判決があり、未支給年金請求権について、最高裁はその相続性を否定しています。


国民年金法は、未支給年金を請求できる者の範囲及び順位について、民法の相続人とは異なる定め方をしています。


一定の遺族が「自己の名」で未支給年金の支給を請求することができるとした国民年金法は、遺族の生活保障を目的とした立場から未支給年金の支給を認めたものと解されています。


固有の権利とみなし規定

従って、年金受給権者の遺族で一定の要件に該当する人は、その人の名前で当該未支給年金の支給を請求することができます。


遺族の固有の権利に基づいて支払いを受けるものには、保険金や退職金などもあります。しかし、保険金や退職金と異なり、未支給年金には、相続財産とみなす規定もないので、相続財産ではなく、その遺族の一時所得の収入金額に該当します。


「厚生年金」と「共済年金」の規定ぶり

 これを踏まえ、いろんな未支給年金の課税関係について見てみると、厚生年金法は国民年金法とほぼ同様の規定ぶりになっているので、先の未支給国民年金と課税関係も同様とすべきとなりそうです。


他方、「共済年金」では、請求権者の範囲及び順位について、民法の相続人とは異なる定め方をしているという点では同じですが、「遺族」がいないときは死亡した者の「相続人」に支給すると、いう規定も置いています。そうすると、死亡した者の「相続人」が支給を受けた場合には相続税の課税対象になるとも考えられそうです。


国税庁の整理

ところが、この場合も支給を受けた者の「一時所得」になると、国税庁ホームページでは整理しています。

今回の改正で、延長又は存置等された主な項目を確認の意味を込め概観してみます。

 

法人税関係

中小企業等の貸倒引当金の特例については、適用期限を平成30年度末まで延長。なお、事業協同組合等にあっては、割増率が10%に引き下げられた。

 

中小企業がトラック(3.5トン以上)、内航貨物船、機械装置等を取得した場合の特別償却(30%)又は税額控除(7%)の適用期限は、2年延長。

 

医療機器の特別償却制度について、対象機器を見直した上で、適用期限は2年延長(所得税も同じ)。

 

中小企業の交際費課税(定額控除800万円の損金算入)、少額減価償却資産(合計300万円の損金算入)、欠損金の繰戻し(全額)による還付制度は、存置され平成29年度末まで適用。

 

所得税関係

エンジェル税制(一定の株式の取得による投資額の所得控除、譲渡益控除、譲渡損失の繰越控除)は、一部適用対象を拡大して2年延長。

 

優良住宅地の造成等のための土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例は、適用期限を3年延長。

 

短期所有土地等の譲渡益に対する追加課税制度の停止期限は、3年延長(法人重課も同じ)。

 

資産税関係

事業承継税制(非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予)については、(イ)相続時精算課税制度に係る贈与を贈与税の納税猶予制度の適用対象に追加、また、(ロ)雇用確保要件では相続開始時又は贈与時の常時使用人従業員数×80%に一人未満の端数があるときは切り捨てる。但し、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員が一人の場合は、一人とする。

 

 上記は、平成2911日以後に相続等により取得する財産から適用。

 

相続税の物納にあてる財産(物納財産)として、上場株式等(株式、社債、証券投資信託の受益証券等)が国債及び不動産と同順位(第一順位)に加えられた。

 

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限は3年延長。

 

土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限は、2年延長

資産課税の主な改正は、次の通りです。

 

財産評価の適正化

1.取引相場のない株式評価の見直し

①類似業種比準方式による株価の算出方法について、(イ)類似業種の上場会社の株価については、2年間の平均を選択可能に、(ロ)比準要素である、配当金額、利益金額及び簿価純資産価額に連結決算を反映したものとする、(ハ)比準要素のウエイトを「1:1:1」(現行1:3:1)に、(ニ)会社規模の判定基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する。

 

②株式保有特定会社の判定基準に、新株予約権付社債を加える。

 

2.広大地評価の見直し

 面積に応じて比例的に減額する現行の評価方法から、各土地の個性に応じて面積・形状(奥行、不整形)等に基づき評価する方法に見直し、適用要件を明確化する。 

 

この改正は、上記1の①は平成2911日以後、1の②と2は、平成3011日以後に相続等により取得した財産の評価からの適用です。

 

相続税等(贈与)の納税義務の見直し

 相続税等の納税義務の範囲については、相続人等又は被相続人等の住所要件が10年(現行:5年)以内に改正、②住所が一時的である外国人同士の相続等については、国外財産を課税対象にしない、③日本に住所及び国籍を有しない相続人等が、過去10年以内に日本に住所を有していた被相続人等から相続等により取得した国外財産は課税対象とする(短期滞在の外国人を除く)。

 

 この改正は、平成2941日以後の相続等からの適用です。

 

医療法人の持分放棄と贈与課税

 持分あり医療法人が持分なし医療法人への移行計画の認定を受け、一定の要件を充足した場合、当該医療法人の持分放棄に伴う経済的利益には贈与税を課さない、とする改正がなされています。適用については、所要の措置を講じた後となっています。

 

タワマン課税の見直し

 居住用超高層建築物(タワマン)に課す固定資産税については、階層別専有床面積補正率(1階を100として階が1つ増すごとに39分の10を加えた数値)を適用した課税に改められます。

 

 

 改正は、平成30年度(平成2941日前に売買契約が締結されたものを除く)から新たに課税されるものに適用されます。
国庫に帰属するのが原則
相続人が存在しない場合には、その相続財産は国庫に帰属するのが原則です。
しかし、故人(被相続人)と長年同居していた内縁の配偶者のように、被相続人と一定の関係のある人を素通りして、国庫に財産が移行しては、被相続人の意思に反し、不合理だという見方もあり得ます。

1500万円教育費非課税贈与の波紋

 今年の税制改正案として報道された孫への1500万円教育費非課税贈与が話題になっています。自分の子どもから、当然に1500万円の贈与が孫にあるものとして話しをされた、といって悩んでいる人がいました。また、基礎控除の4割削減による課税強化に対抗する策として、他の親族から借金してでも全ての孫に1500万円ずつ贈与しよう、としている人もいました。

相続二重資格の二つの事例

事例1 婿養子夫婦に子がないまま養子の夫が死亡して相続が開始したとすると、養親実親も他界していた場合、相続人は妻と兄弟姉妹になりますが、妻には配偶者としてと兄弟姉妹としての相続資格があります。

事例2 子が母の妹の養子になったものの、母もその妹も祖父より先死した場合、祖父の相続で、養子になった子は母と養母の両方の代襲相続人として相続資格を持ちます。

共有持分の放棄はみなし贈与

 共有者が自分の共有持分を他の共有者に贈与すると、受贈者には贈与税が課税されます。共有者がその共有持分を放棄したときは、民法上、その持分は他の共有者に帰属することになっていますが、これは単独行為なので贈与には該当しません。でも、相続税法上、贈与とみなされて、他の共有者に贈与税が課税されます。

共有持分の贈与も共有持分の放棄も、ここでは、同じ課税関係になります。

 資産課税の見直しも、昨年6月の税制抜本改革法附則第21条を受けての改正内容となっています。それでは、主な改正項目を概観してみたいと思います。

 なお、以下の改正は平成2711日以後の相続又は贈与から適用されます。

事業承継税制の柱は、何といっても平成20年に創設された非上場株式等(一定の部分に限ります)についての相続税・贈与税の納税猶予の特例です。この特例ですが、一定の要件を満たすことによって、相続税についてはその株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税額が、一方、贈与税についてはその株式等に対応する贈与税の全額の納税が猶予されます。

 そして、納税が猶予された相続税・贈与税は、先代経営者(贈与者)・後継者の死亡等により免除されることになっています。                  

子供にお金を渡すことは税金がかかるの?

子供に年間110万円を超える金銭をあげた場合は贈与税の対象になることは広く知られております。では学生で一人暮らしをして、親が毎月仕送りをしている場合、月に概ね9万以上を仕送りしていると、年間で110万円を超えてしまいます。こういった場合まず贈与税を心配する人はいないと思いますが、どこが違うのでしょう。

法定相続による「不平等」を正す規定

我が国の相続法では、故人(被相続人)と相続人の身分関係に応じて、法定相続分が固定されます。しかし、例えば、被相続人の事業を無償で継続させた、被相続人に資金援助した、あるいは、長年被相続人を介護し続けた相続人が、何もしなかった相続人と相続分が同じでは、かえって不公平になります。このように、被相続人のために多大な貢献をした相続人を保護する途として、寄与分という制度があります。

事業の合流と合流前事業

相続による事業の承継には、非事業者が相続により事業者になる場合のほか、相続人も被相続人も事業者であった場合があります。

後者のケースでは、相続人の事業が以前から免税事業者であったとしても、相続による事業の承継で、事業規模が大きくなり、免税事業者の規模を超えることになる場合があります。

相続人と被相続人との事業の合流ですから、合流後の課税・免税事業者の判定は、合流前の事業の各基準期間の課税売上を全部合計して、合計額が1千万円を超えるかどうかで判定することになります。

一般の家庭でも使えます

家族の財産管理や承継に「家族信託」を活用する動きが注目されています。信託と言うと資産家の話と思われがちですが、対象資産は「自宅」です。

2007年に信託法が改正され、「個人信託」のひとつとして一般家庭の「家族信託」が可能になりました。例えば、父親が亡くなり1人暮らしの母親が家を、長男に信託し長男は母の自宅を管理しながら母をその家に住まわせるということができます。このような信託を「家族信託」といいます。

民法と相続税

 民法では、養子の数に制限をもうけていませんが、相続税では、相続人に養子がいる場合の相続人の数、法定相続人ですが、その数に含める養子の数を制限しています。理由は、養子の数が増えると次のような税負担の軽減が図られるからです。

①遺産に係る基礎控除額が大きくなる

②累進税率が緩和され相続税の総額が縮減される

③保険金の非課税限度額が大きくなる

④退職手当金の非課税限度額が大きくなる

 相続分の譲渡は、あまり馴染みのない言葉ですが、民法にもその規定があることから、相続における遺産分割の一形態として利用されています。当然、相続財産が未分割であることが前提です。

非人道的な連帯納付義務

 相続税の連帯納付義務については、以前から、「不意打ち」的に納税を迫られること、担保提供の上での延納の場合の担保価値下落リスクが税務当局・担保提供者以外に転嫁されてくること、10数年も前もの相続税が問われることによる延滞者の高率延滞税の負担まで負わされること、相続財産だけでなく元々の固有財産まで没収される、等々の問題点が指摘されていました。

法人株の究極の相続対策

 株式価値の高い父親経営の同族会社を、息子が新規の会社を設立し、そこに吸収合併させ、無償消滅させてしまう、という相続対策は、適格組織再編として課税関係が生じませんでした。この行為は無対価組織再編と言われるものです。

 100%親族グループの場合での適格組織再編の要件は、株式以外の資産の交付がないこと、というのがほとんどの内容です。そうすると、株式そのものの交付もしない『無対価』の組織再編は、この要件からして「適格」に該当してしまいます。

 大会社のグループ内再編では無対価組織再編は通常のことで、会計基準もあります。ただし、税法については特に規定がありませんでした。平成22年の改正によってはじめて『無対価』という明文の規定創設がされたところです。

生命保険金は相続財産ではない

相続によって引き継がれるのは、プラスの財産だけではありません。例えば、被相続人に借金があれば、借金も同時に引き継がれることになります。借金の方が多い場合は、『相続放棄』をすることもできますが、ここで気になるのは、相続放棄をした場合、被相続人の生命保険の保険金を相続人が受け取ることはできるのかと言うことです。

結論から言えば、生命保険金の受取人が相続人の場合、相続放棄をしても、生命保険金を受け取ることはできます。つまり、保険金請求権は相続人にあり、被相続人の財産ではなく、相続人の財産とみなされるため、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることは可能なのです。

しかし、ここで注意しなければならないのは、生命保険金は相続財産には含まれませんが、相続税の対象になることです。次に、生命保険金の税法上の取り扱いについて説明したいと思います。

相続税が必要経費とは

 相続や遺贈(相続等)で財産を取得した人で相続税額がある人が、相続開始日の翌日から3年と10カ月を経過する日までに、その取得した財産を譲渡した場合は、その人の確定相続税額のうちその譲渡した資産に対応する相続税額を、当該譲渡した資産の譲渡所得の金額の計算上、その所得を限度して、必要経費に算入することができます。このことを、所得税法上、相続税の取得費加算といいます。

 なお、譲渡した相続財産が土地及び土地の上に存する権利(土地等)であれば、相続等により取得したすべての土地等(物納及び物納申請中の土地等は除く)に対応する部分の相続税額が必要経費(取得費)となります。

 過日、国税庁から平成22年中に亡くなった人から、相続や遺贈などにより財産を取得した人に係る相続税の申告状況の発表がありました。その具体的な内容は、次のとおりです。

物納は最後の砦?


 国税は金銭で納付する事が原則ですが、相続税については延納によっても金銭で納付する事が難しい時は、一定の相続財産による物納が認められています。

 延納とは、相続税が10万円を超えた際に担保を提供する事によって、相続税を年賦で支払える制度です。ただこれには利子税がつきますので、実際の相続税よりも、総額では多く払う事になります。

 物納は、延納でも支払えない場合に利用できる制度ですから、最終手段と言うべきものです。「金銭は老後の為にとっておいて、土地を物納して相続税を納めたい」といった方法は取れません。

財務副大臣の発言から


 予算委員会で、財務副大臣が「所得再分配機能をどう取り戻すかが重要課題」とし、

    所得税・相続税の最高税率を上げる

    富裕税という考え方もある

    マチマチな税率構造を見直す

と施策案を挙げていました。


 ①は今、審議中の一体改革案の中ですでに上程されています。

 ②と③は、多分、財務省が腹案として、すでに準備しているものなのでしょう。

税制改正は330日、予算は45

 

 今年は、予算の成立よりも予算関連税制改正の成立が先行してしまいました。過去に、こんなことはありませんでした。

 

 昨年は、327日に予算が成立し、予算関連税制改正の一部がつなぎ法として330日に成立し、622日と121日に自公民3党合意により、大幅改正でないものを2段階で順次成立させ、残りは未成立でした。この顛末も過去にないケースでした。

 平成24年度の税制改正においても、基礎控除を4割圧縮(基礎控除5,000万円から3,000万円、法定相続人1人当たり1,000万円から600万円)するとともに最高税率を引き上げるという相続税の増税案は見送られました。結果、「社会保障と税の一体改革」では、平成2711日からの実施を目指すとなっています。

 

この増税案の根拠ですが、富の再分配、格差是正といった大義もありますが、1つには、バブル崩壊後の地価下落が止まらず相続財産の価額が相対的に小さくなったことも根拠であると言われています。

韓国のみなし相続財産

 

 東京税理士界のホームページには韓国の税制を紹介しているページがあり、そこを見ると、韓国にも日本と似たような相続税の制度があることが、わかります。

 

 ただし、みなし相続財産のところが特異です。相続開始前1年以内に2億ウォン以上、相続開始前2年以内に5億ウォン以上を処分(債務を負担した場合を含む)した財産がある場合で、その使途が説明できない状況にあったら、その使途不明財産は、相続財産とみなされます。

武富士事件の場合

 

 武富士最高裁判決で、国側逆転敗訴の結果、加算税、延滞税を含め1,585億円納付していたものに、約400億円の還付加算金を付して、約2,000億円が還付されました。

 

還付加算金は国税側からの利子に相当するもので、4%余の利率で計算されることになっており、納税者側の早期納付の場合の軽減ペナルティーとしての利率と同じもので、納税者にも国税側にも、適正申告納付・適正課税執行を促すものとして制度化されているものです。

何度でも更正処分ができるが

 

 法律の建前では、何度でも更正の請求や更正処分ができることになっています。

 

但し、期間制限の範囲内ということなので、従来は、更正の請求期限が1年と短期だったことから、何度もの更正の請求はありえなかったし、それに対応する更正処分が何度も行われるということは滅多にないことでした。

 

ただし、昨年12月の法改正で、その期間が最低5年に延びたので、建前だけでなく、何度もの更正の請求や更正処分が現実味を帯びるようになってきました。

争えないという理由

 

 「修正申告をすると争えない」と言われることが多いのですが、それは修正申告が自らその税額を確定する行為だから、ということに由来するものではありません。

 

 当初申告をして、さらに修正申告をして、その後、減額更正の請求をして、税務署長により減額更正処分が拒否されたら、当然に争えます。

 

 「争えない」と一般に言われる理由は、更正の請求に期間制限があり、期間が経過してしまっていることが多いからです。

遺言書とエンディングノート

 

遺言書ブームに火が着いたのは2009年のことですが、それに追随するようにエンディングノートの人気がじわじわと上がっています。

201110月より公開された映画『エンディングノート』は、当初は重いテーマだと上映館数も多くありませんでしたが、口コミで広がり11月には観客数5万人を超え、現在もなお全国の映画館で上映されています。

やはり起きていた税務係争

 

平成19年に相続がおき、相続税申告では3198万円余で評価した土地を、平成21年に3000万円で譲渡した事例があります。

 

これについて納税者が、相続税で時価課税済みなのだから、譲渡所得税が課税されるとしたら二重課税ではないか、と問うて国税不服審判所に審査請求しています。

審判所は、法律で課税を容認しているとして、訴えを棄却しています。

相続・贈与税の平成23年度税制改正の当初案は、昨年6月に分離した「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築」、いわゆる税制構築法案、同年1028日の修正後の同案のいずれにも含まれていましたが、同年1110日の三党協議で、突如、その全てと言っていいほどの法案がボツになりました。

マスコミにみる今年の大綱

 

 1210日、2012年度税制改正大綱が公表されました。消費税増税を控えて場当たり的とか、小粒な内容とか、政策理念がないとか、マスコミ評価は惨憺たる状況です。

 

自動車重量税の軽減が取り沙汰されていることの外は、目立つ形で取り上げられていません。

 

むしろ、この税制改正案が、今年もまた、まともな国会通過を果たせないのではないかと心配になってしまいます。

海外への資産逃避による申告漏れ対策

 

 2012年度税制改正大綱は、国外財産に係る所得や相続財産の申告漏れが近年増加傾向にあること等を踏まえ、一定額を超える国外財産を保有する個人に対し、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度を創設する、としています。

 平成23年度税制改正法案の目玉であった相続税の増税案(基礎控除の引下げ、税率構造の見直し等)は、分離され、継続審議中でしたが、結局、今改正案から削除、年末に取りまとめられる抜本改革の中で議論されることになり、先送が確実となりました。

税制改正の政局化から学ぶこと

 

今年の税制改正のうち、政府の目玉としていた改正税法は、半分ぐらいしか国会通過の見通しがありません。3月の時点で、自民党・公明党の3ヶ月つなぎ法によって辛うじて日切れを刹那的に回避したものの、6月の時点で同じようなつなぎ法だったら、そこに入っていなかった電子申告控除やバリヤフリー改修控除、森林計画特別控除は税制として消滅することになっていました。

 

最早、納税者有利規定といえども、遡及適用立法は、制度廃止のリスクを伴っていることを見過ごすことは出来ません。

遺言の効力について

 

遺言は、売買、賃貸借と同様、法律上の権利義務の発生をもたらす行為です。

 

また、遺言は、遺言者の一方的な意思で完結し、かつ、遺言内容は遺言者の死後、書かれた文言に従って実現されます。

 

そのため、遺言が有効になるための要件は厳格であり、これに反した場合は無効となります。

修正申告は、既に提出した確定申告の税額が過少(純損失等が過大)であったとき、原則、納税者の自発的な意思に基づいて、税額の増額(純損失等の過少)修正をする申告手続きです。

 

 しかし、例外的に各個別税法、租税特別措置法の規定により修正申告が義務付けられているものがあります。これが義務的修正申告です。

当初の内閣提出の税制改正案は

 

 通常国会の初期に出されていた当初の平成23年度税制改正案は、衆議院で立往生していましたが、その一部が、自公民3党合意案として分離され、622日に国会通過し、630日公布されました。

 

 3党合意に至らなかった残りの部分は、年度改正ではないタイトルに変えて引き続き「所得税法等一部改正案」として衆議院で継続審議という立往生状態を続けています。

まずは相続に関する基本から

 

建物の賃借権もまた、他の財産と同じく相続の対象となります。

 

しかし、居住用建物では、当事者にそのような意識がある人は少なく、遺言や遺産分割協議書で誰に承継させるかを明示しないままに推移しがちです。

 

それで、そこに住み続ける相続人が契約更新にあたって、賃貸人との間で、自らが相続したと新しい借主となって契約書を締結し直す例が間々見られます。

我が国の相続税法は、被相続人の国籍が外国籍かどうかに係わらず、その相続人が居住者か非居住かで相続税の納税義務の範囲を画しています。

相続関係図

 

祖 祖

     母〒父

     死│A相続開始

     亡│

  ┌─┬─┼─┬─┐

父〒母 C D E F

 │B 死 死 死 ↑

 │死 亡 亡 亡 ↑再

 │亡 │ │ │ ↑々

 │  │ │ │ ↑々

 F→→F→F→F→┘養

     養 再 再   子

     子 養 々

       子 養

         子

 

養子縁組の経緯

 

 このたび、祖父Aに相続が発生しました。相続人であるべき母はすでに死亡しているので、その子Fが代襲相続人です。

 

 同時にFは母の兄弟姉妹の子として養子縁組し、引き続き他の兄弟姉妹の子として次々と再養子縁組をしていました。最後に、祖父母にも養子縁組していました。その兄弟姉妹もそれぞれすでに他界してしまっています。

 

再養子という制度

 

 徳川15代将軍慶喜は水戸家から一ツ橋家の養子になり、徳川本家の再養子となりました。昔は普通のことでした。

 

 家制度に基因する養子制度、養親養家に利益をもたらす養子制度から、養子のための養子制度に大きく制度の趣旨が歴史的に変遷してきているとはいえ、以前の制度趣旨が否定されているわけではないので、現行民法においても、再養子・再々養子はあり得てよいことになっています。

 

法定相続人は何人か

 

 現行相続税法での基礎控除は、

 

5000万円+1000万円×法定相続人数

 

です。この相続関係図での祖父Aの相続人はFのみです。FはAの養子としての身分のほかに、BとCとDとEの代襲相続人としての身分があります。

 

実親の相続権と扶養義務から切断される特別養子以外の一般の養子は、実親と養親の両方の相続権と扶養義務をもつ二重身分になります。Fはここでは五重身分です。

 

 被相続人の養子は1人だけなので、養子数の制限に触れていませんから、法定相続人は5人となるのが正解のようです。

相続税において、一定の相続人が(配偶者を除く)遺産の中に被相続人等が居住の用に供していた宅地等を相続し、一定の要件を満たす場合には、当該宅地等は特定居住用宅地等として80%の評価減の特例(減額特例)が受けられます。

 

しかし、被相続人等の居住の用に供していた宅地等が複数存在する場合には、この減額特例の適用については、明確な規定はありませんでした。

 

そこで、平成22年度税制改正で、特例の対象宅地等については、「被相続人等が主として居住の用に供していた一の宅地等」に限られることが明確にされました。

政府は、419日、東日本大震災の被災者や被災企業の支援税制「第1弾」の関連法案を閣議決定し、27日参議院本会議で可決、成立しました。以下、主な税目についてその内容を確認してみます。

相続により取得した財産が大震災により甚大な被害を受けたときは、現法上、災害免除法による相続税の減免措置があります。

 

 手続きとしては、その被害が相続税の申告期限前と申告期限後によって異なります。 

 

なお、適用にあたっては、被害割合について一定の要件があり、当該要件は申告期限前でも期限後でも同じです。

相続税課税割合の推移

 

平成21年中に死亡した人は114万人、このうち相続税の課税対象となった人数は4万8千人、課税割合は4.06%でした。20年は4.2%で、平成13年に5%をきって以後引き続いて4%台の課税割合が続いており、いよいよ平成22年は3%台に突入か、という状況にあります。

 平成23年度税制改正における資産課税については、相続税は「格差是正」及び「富の再分配機能の回復」の観点から増税、一方、贈与税は次世代への早期財産移転を一層促進させる観点から贈与しやすくなっているのが特徴です。以下、主な改正項目を確認していきます。

相続があった場合、被相続人の事業を承継した相続人の消費税の納税義務は、特例として、次のように定められています。

(1)相続開始の年にあっては、相続人の課税売上高の有無に関わらず、被相続人の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば、相続開始の翌日からその年の末までの期間は納税義務者となります。また、(2)相続開始の年の翌年及び翌々年にあっては、相続人及び被相続人の基準期間の課税売上高の合計が1,000万円を超えていれば、その年については納税義務者となります。

法定果実については遺産分割効果なし

 

 遺産分割の効果は相続時に遡ります。ところが、未分割財産に係る法定果実は相続財産そのものではないから、遺産分割の遡及効果は及ばず、未分割の間は相続人の共有関係とされています。

 

最高裁判例は、未分割の期間中の賃料債権は、「各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当であり」、その帰属関係は「後にされた遺産分割の影響を受けない」と言っています。

相続後の法定果実

 

賃貸建物から生じる賃料のような収益のことを法定果実と言い、収益の源になる建物のことを元物と言います。

この賃貸建物が相続財産であった場合で、相続人が複数いる場合には、遺言がない限り遺産を分けるには分割協議をしなければなりません。そして、分割協議が成立すると、民法上遺産の分割の効力は相続開始の時にさかのぼるので、建物の所有権は相続時点に遡及しての取得になります。

 

法定果実については、法律上、果実収取の権利者の権利期間に応じた日割計算をして帰属額を決める、とされています。

民法における果実とは

 

民法で果実というときは、天然果実と法定果実とに分類されます。天然果実と言っても、野生の果物の意ではなく、人工栽培の果物のみならず、すべての農業漁業林業畜産業鉱業等の第一次産業の生産物を含みます。採取したキノコやタケノコ、米麦芋豆等の穀物から、さらに漁業生産物、鶏の卵や雛、乳牛の牛乳や仔牛など畜産資源、そして採掘する鉱物資源も含まれます。常識的な言葉のニュアンスより可なり広い意味で使われています。

過日の年金二重課税判決(最高裁)のように、判決等により「国税庁長官の法令解釈」に変更が生じた場合、法定申告期限から1年以内であれば「更正の請求」により納税者は救済されます。

 

しかし、更正の請求期限を過ぎたもの、つまり、法定申告期限から1年を超え5年以内の年分については、還付請求権の5年間の行使はあるものの、平成17年までのその取扱いは、納税者の嘆願申請により、税務署長の職権による減額更正で還付を実施し納税者を救済してきました。

政府税調の相続税法改正議論の論点

 

 政府税調のホームページで確認できるところによると、相続税・贈与税の改正につき次の論点があげられています。

    相続税基礎控除を60%カットする

    10億円超につき最高税率を60%にする

    退職金・保険金の500万円非課税枠廃止

    贈与税の基礎控除のアップ

    遺産税体系への切り替え

先の年金受給権二重課税禁止の最高裁判決は、その解釈によっては、現行所得税体系の根幹を揺るがしかねないと言えます。

 

 相続税と所得税の二重課税を招来させる課税事象は幾つかありますが、その1つ、「土地の売買契約締結後、その引渡し前に相続開始」の課税関係も二重課税にあたるのではないかと思料されます。

2010年に死んだ人には相続税がかからない、というアメリカ事情はちょっと驚きですが、2011になるとまた再び適用停止になっていた2001年時の60%という最高税率の「連邦遺産税」という名の相続税法が復活する、というのも更に驚きです。

 2010年相続税ゼロは、アメリカ合衆国の連邦遺産税の話です。これは事実で、アメリカ合衆国では、どんな大金持ちでも2010年に亡くなった人には連邦遺産税(遺産税)は課されません。

 

この遺産税廃止は、前政権ブッシュJrの時代に立法化されましたが、この法律が日本でいうところの「時限立法」だったことから、本年限りでその効力は失い、2011年から遺産税は復活し,現段階では2001年以前の規定に戻る予定です。

1から10までの合計

 

 1から10までの足し算合計が55であることは誰でも知っていると思います。1から20までの合計はわかりますか。答えは210です。30までの合計は465です。

 このへんまでなら、実際に足し算をしてみて答えをだすことに、そんなに苦痛はないと思います。でも、1から100までの合計とか、1000までの合計とか、ということになったら、実際の足し算をするのは大変です。

清算所得課税廃止と法人税相当額控除

 

財産評価基本通達が改正されて、この10月1日以後の相続贈与により取得した取引相場のない株式の純資産価額方式による評価額から控除できる法人税等相当額の割合が42%から45%に変更されました。

この変更は、評価額の減額を意味するので相続税贈与税の負担軽減になります。

何年生きられるかは法定されている

 

 人の出生は奇跡的偶然の産物ですが、死は例外のない必然です。そして、人があと何年いきられるかは法定されています。それを余命年数といいます。

 

 余命年数は、厚生労働省が作成している「生命表」に掲載されています。国勢調査等による人口動態統計の確定数により「完全生命表」が5年ごとに改訂されており、それ以外の年には「簡易生命表」が公表されています。

最高裁判決後の新状況

 

最高裁の二重課税禁止判決以後、所得税課税制度の屋台骨は根幹においてグラついています。当局はどこまで踏み込んで、どう建て直すべきか、世論の反応を見極めようとしています。多くの識者も、マスコミも、それに遠慮してか、現実を直視した提言をしません。

基本権と支分権とは同じ

 

最高裁の二重課税禁止判決が否定した高裁の判決は、相続財産になったのは10年分の年金支払請求基本債権であり、所得税が対象とするものは各年の分割年金請求権たる支分権であり、両者には法的性格に異なるところがあるから、同一物への二重課税にはならない、というものでした。税務署の主張の丸呑みで、屁理屈そのものながら、色々な理屈を並べていました。

源泉分離課税所得についての還付申告

 

財産評価通達は預貯金・貸付金などについて、相続開始日の解約利息の手取額を相続財産として計上することを要求しています。これらは、利息請求債権です。

小学校の算数の復習

 

 算数の得意な人にとっては常識的なことなのですが、一般には意外に思われるものに、0乗の値があります。

 

 2の1乗は2で、2の2乗は4、2の3乗は8です。それで、2の0乗の値は何だと思いますか。0ではありません。

離婚時財産分与と同じ理由

 

離婚の際に財産分与を受ける場合、財産分与請求権がすでにあれば、その請求債権の弁済として財産を受け入れているだけだから、受ける側に課税はない、というのと同じ理由で、最高裁は二重課税禁止判決を出しています。

分離申告とは

 

不動産の譲渡や株の譲渡に関する所得税の申告は「分離課税」と言われます。「分離課税」という言葉がもたらすイメージからか、給与や年金や事業収入や不動産貸付収入などの毎年の所得申告とは切り離し、分離課税所得については、別の用紙で申告するものと誤解する人もいます。

 息子に新規の会社を設立させて、親がオーナーの会社の主要な事業と資産を息子の会社に無償で吸収分割させて、親の会社はもぬけの殻にしてしまっても適格組織再編として課税関係が生じず、株主構成を根本的に変える効果を発揮してしまう・・・。

離婚時財産分与では取得者非課税

 

離婚の際の財産分与では、分与を受けて財産を取得する側は非課税です。すでに財産分与請求権があり、その請求債権の弁済として財産を受け入れているだけだから、という理由です。そして、妻のその取得財産の取得費はそのときの時価となります。

離婚時財産分与での債権債務

 

離婚の際の財産分与では、分与を受ける側に財産分与請求権があり、他方に財産分与義務があると言われます。

離婚の財産分与では分与側に課税

 

離婚の際の財産分与では、分与を受けた側には贈与税も所得税もかかりません。

 

それに対して、分与した側が居住不動産や有価証券などで分与義務を履行すると譲渡所得税の対象となります。

二重課税禁止最高裁判決の計算構造

 

先月76日の年金二重課税禁止最高裁判決の新判例は、二重課税の回避として相続税課税済額を所得計算から排除することを要求しています。また、所得税法は支払済保険料を所得計算上控除するものとしています。

即身成仏と即身仏

 

30数年前、「即身成仏する」と自室に閉じこもり、水や食事を絶って、そのままミイラになった、というニュースは衝撃をもって配信されました。現代社会の家族関係を表象するような社会病理現象と受け止められたからだと思います。

最高裁二重課税禁止判決の所得計算

 

 年金への所得税と相続税の二重課税を禁ずる先月76日の納税者逆転勝訴最高裁判決の年金所得の計算は、次の通りです。

年金収入-相続税評価額=年金所得

最高裁二重課税禁止判決の独自内容

 

 年金への所得税と相続税の二重課税を禁ずる先月76日の納税者逆転勝訴最高裁判決(長崎地裁は勝訴、福岡高裁は敗訴)の内容は、勝訴していた長崎地裁の判決と少し異なります。

 

地裁は、年金への課税は相続税で済んでいるのだから、所得税で再課税すべきではない、としたのに対し、最高裁は、相続税の課税済み部分はその後の所得税課税において重ねて課税してはならない、です。

 年金に相続税と所得税を二重課税するのは所得税法違反、と国側敗訴にする最高裁判決が76日に下されました。

年金保険への課税の現況

 

 相続税法では、年金は年金受給権として評価され、相続財産として課税されます。その後、年々の年金受給が始まると、雑所得として所得税が課税されていました。

 

ただし、年金で受けとるのではなく、一時金で受け取ることにした保険金については、相続税がかかるだけで、所得税はかからないことになっていました。

居住者か非居住者の何れかに該当するかによって、税務上の取り扱いが異なります。

直系尊属(父母、祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税枠についての今年の改正点を整理します。
今年の税制改正で、相続税の小規模宅地に関して大きな見直しがなされました。