B3_税務・会計全般

金持ち課税をどう見る

2011年1月25日 10:15

23年度の税制改正大綱の見方

 

 個人所得課税に関する23年度の税制改正大綱の特徴は高所得者課税への方向転換と一般に把握されています。格差是正が焦眉の社会問題だから、という型にはまった類推判断からも、なんとなく当たっている印象をもたせる見方となっています。

所得税の金持ち重課の代表項目

 

高所得者課税項目としては給与収入1,500万超部分の給与所得控除は認めない、2,000万円超の役員給与者についての給与所得控除額は激変緩和のもと半分にする、勤続5年以下の役員退職金の「2分の1課税」を廃止する、合計所得金額400万円超の人についての成年扶養親族控除の負担調整をしての適用除外、などがあります。

 

金持ちだけで終わるのか

 

財政規模71兆円で国債依存が44兆円と相変わらず税収不足はますます深刻化しています。金持ち重課はまだまだ手ぬるいから、もっと徹底的にやれ、という声になってくるのでしょうか。

 

税収増をどこで確保するのがよいかという課題では、本当は税率の低い多数派の層のところの課税範囲および税率を外さないことが効果的なのですが、その多数派を一括直撃するのは氾濫をもたらしますから絶対に得策ではありません。急がば回れの例えの通り、少し長期に構えて、まずは所得の高い層に対してのみ負担を求める分断策を採るのが定石です。

 

所得の高低は相対概念

 

確かに、最高税率のアップ、配偶者控除廃止の検討は見送りなど不徹底の部分はありますが、少数派としての高所得者への分裂課税の成功は、基準の変更で高所得者の範囲を少しずつ拡大する改正の制度化をもたらしますから、不徹底を叫ぶことは、結局は多数派を「高所得者層」にすることになります。高所得層を厳密化すれば、税率構造の細密化に跳ね返ることになります。高所得というのは相対概念ですから、より低い層から見れば、多数派も高所得層に転化するからです。

 

大衆課税への突破口

 

23年度の税制改正大綱の路線は、87%を占める給与所得者への課税を中心に所得税の復権と所得再配分機能の回復を果たそうという路線であり、その開始元年です。

これで終わりのわけがないとすれば、金持ち重課は結果として大衆課税への突破口としての施策であるのは必定です。