分掌変更退職金の分割払い

2015年8月26日 07:35

役員退職給与の確定総額と分割払い額

 役員退職給与の損金算入時期は、?株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の属する事業年度、?法人がその退職給与の額を実際に支払った日の属する事業年度、のいずれにするかを選択することができます。?の場合は、分割払いも想定されており、その分割払いする各事業年度が損金算入時期です。

分掌変更による退職金認容での未払金

 常勤→非常勤、取締役→監査役、代表取締役辞任で役員報酬の半分以下への激減、などに該当するときは、実質的に退職したと同様と認められるので、退職給与として法人が「支給した」給与は損金算入できる、との通達があります。

 ここでの、「支給した」との文言は、未払計上を否定する趣旨と解説されています。なお、未払分を未払計上せず、翌期以降の分割払いとしたときは、各支払時に損金算入が認められるかを争った事案があります。

 

審判所では負け地裁では勝ち

 国税不服審判所の裁決では、分掌変更退職金は一種の打切り支給特例としての在職退職金なので、弊害防止の趣旨から、債務の確定だけではなく、実際に金銭等の支給があることを要求しているので、未支給については余程の合理的な理由がある場合でない限り、認められないとして、納税者は敗訴となりました。

地裁では一転して、中小企業での税法通達依拠経理は、一般に公正妥当な会計慣行の一つであるというべき、として分割払いを特別な例外取扱いにすることにつき、これを否定し、納税者勝訴としました。

 

裁判所の通達解釈

企業が、税法通達を斟酌して、会計処理の方法を検討することは至極自然、特に中小企業においては、会計基準よりも、税務会計が一般に公正妥当な会計慣行であるというべきである、としつつ、他方、通達は、課税庁における税法の解釈基準や運用方針を明らかにするものであり、行政組織の内部において拘束力を持つものにすぎず、法令としての効力を有するものではない、と判決は言い切っています。

 

グレーゾーンがホワイト化

 分掌変更退職金の分割払いと分割支払時損金算入はいままでグレーゾーンで、容認と否認の見解が交錯していたところでした。

これからは、あまり神経質にならずに、取り組めそうです。