不当利得返還額の横取

2013年5月13日 10:00

納税義務があっても損金算入不可

「固定資産税は・・・固定資産の真の所有者が負担すべきものである・・・固定資産税の納税義務があるか否かと、固定資産税を法人の損金に計上しうるか否かとは、全く別の次元の問題である。」
 この主張は、固定資産税日割額を負担して、それを譲渡代金とすることを強制された納税者の主張ではありません。平成9年11月13日最高裁判決に係る地裁での西淀川税務署長の主張です。

 納税義務の有無とは無関係に、固定資産の真の所有者こそがその負担額を租税公課として損金算入し、所有者でないものが納税義務者として負担する固定資産税は立替金にすぎない、と言っています。


消費税だけが異なるのか

 国税庁のホームページでは、「不動産売買の際に、売買当事者の合意に基づき固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が分担する場合の当該分担金は、地方公共団体に対して納付すべき固定資産税そのものではなく、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するもの(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭)として消費税の課税の対象となります。」と書かれています。
 譲渡対価とさせられた固定資産税日割按分額のうち建物等に係るものには5/105の計算をして売上消費税とすることになりますが、これに係る仕入消費税はありません。
 ここには、立替税金の清算という発想はありません。立替清算として回収した固定資産税の一部は、消費税(場合によっては所得税等)として国や自治体に横取りされてしまいます。

立替金全額清算要求は権利

地方税法は、真実の所有者に対して課税すべきところを徴税の便宜から名義上の所有者に課税しているものであるので、名義上の所有者から真実の所有者に対する不当利得返還請求が裁判上で確認され、それによって不合理な制度との判定が回避されているものです。
 課税されることによって、その不当利得返還額の全部が保証されないのだとしたら、それは最高裁判決によって確認された国民の権利としての不当利得返還請求権が侵害されたことになります。