宮崎駿監督引退表明 『ナウシカ』は委員会方式の先駆?

2013年10月29日 08:40

『ナウシカ』は製作委員会方式の先駆?!

 宮崎駿監督が長編映画作品の製作からの引退を表明しました。エコロジカルな視点や、『平和の大切さ』という重厚なテーマ、完全な悪役を作らずに『人間の矛盾』や『二面性』を描く作風は、子供ばかりでなく大人も惹きつけるものでした。宮崎作品の貢献により、日本におけるアニメーションの地位も大きく向上しました。

 今でこそビック・コンテンツの宮崎作品ですが、興業ビジネスは本来ベンチャー的なもの。『ハイリスク・ハイリターン』の『ハイリスク』―特に資金リスクにどう対応するかが経営課題でした。宮崎作品では監督2作目の『風の谷のナウシカ』(1984年)より『製作委員会方式』を採用しました。

製作委員会は民法の任意組合

 『製作委員会』は、興業ビジネスのリスクを分散するための『共同事業』の形式で、主に民法上の任意組合を用いられます。

 邦画の世界では、従来からドキュメンタリー映画などで出資を募る手法として知られていましたが、映画産業の斜陽化を受けて大手映画会社でも用いられるようになりました。

 アニメ映画において、この手法が使われ始めたのが80年代初頭。『ナウシカ』は、徳間書店と博報堂が出資する『製作委員会方式』で製作されました。この手法は、1988年の『AKIRA』でも採用され、この二つの映画の成功により、アニメ映画においても『製作委員会方式』が広まることになります。

 今日ではテレビにおけるアニメ番組製作にも用いられ、放映後の版権管理やグッズ・DVD販売の『二次利用』を見据えたコンテンツ・ビジネスの『共同事業』の基本形と言えるものになりました。

 

任意組合はパススルー事業体

 税務の世界では、『任意組合』は『匿名組合』『信託』、『特定目的会社』とともに『パススルー事業体』として知られています。パススルー事業体とは、損益は事業体である組合に帰属せずに、組合員に直接帰属します。そのため法人と異なり、事業体自体には課税がなされません。この特性を活かして、今日では様々な投資スキームの器に用いられています。